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「一日十時間以上睡眠を取る馬鹿はこの世のゴミですよね」
いつの間にか寝ていた僕に、松葉さんは可愛らしく膝に頬杖をつきながら言い放った。
パチリパチリと、まあるい瞳が僕の鎖骨を見る。目は合わない。
「すみません」
目覚めの言葉に夢をみるほどガキではない。
嫌、ガキだけれども。
のろりのろりと立ち上がる僕を待つこともせず、さっさとリビングへ消えた松葉さんはフォークを片手に鋭く僕を見た。
冷める、早く。
そう言いたいのかもしれないし、全く違うかもしれない。
謝るついでに小さく笑った僕に満足したのか、目線はスルスルと机まで落ちた。
麻婆豆腐にマスカルポーネのパスタ。
ああ本当に作ったのだなぁと感心する。
手際の良い女の人は好きだ。目障りじゃない。
「これはその、パスタがご飯で麻婆豆腐がおかず?」
「……、…ご飯も炊けてるけど?」
こてんと可愛らしく首を倒されたりしたら、思わず頷いちゃうよね。
まあその…僕の胃袋が千切れ落ちないことを祈ろう。
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