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「思うのですよ。私たち人間が偉いものだと、一体誰が決めたのかと」
天井に向かって語りかける松葉さんはまるで、子供がままごとの時に遊ぶ人形のようだ。
虚ろな目だ。
ああ、また始まった。そう思った。
「私たち人間が、勝手に、決めたのですよ」
小さな声でぶつぶつと喋る松葉さんを眺めながら、スプーンを動かした。
胃が千切れそうになる。
「ただ運良く進化しただけなんすよ。脳が少し発達しただけなんすよ。それはそんなにも偉いことですか? 弱肉強食ですか? しかし我々はその輪から外れている存在なんすよねぇ」
彼女が箸で器用にパスタを巻き取るのを目で追う。
こうなると彼女の口は止まることを知らないのだ。
「いつの間にか牛豚は家畜だよ、犬猫は愛玩ペットだよ。ただ外見や機能が人間にとって使いやすかっただけで」
くるくる、くるくる。
見事に絡み合う麺たちが踊る。
いや、別にそんなことはどうでもいいのだけれど。
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