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防音効果のある広い地下室に二人の男がいる。
「っせい!」
「よっ!!」
「やぁ!」
「いただき!!」
「っつ!! いやー相変わらずお前卓球だけは強いなー」
「だけって何だよ」
「まあ、怒るなって。そだ、まだアレできるのか」
「アレか。勿論、できるよ」
「マジで!? やってよ」
「仕方ないな~ 一回だけだぞ」
男は卓球のボールを天井近くまで高く投げ上げると
「っやあぁ!!」
と、掛け声とともにラケットを振り抜く。
「うわぁ!? やっぱりスゲーな、そのサーブ。切り裂きジャックの名は伊達じゃないね」
「やめろよ。昔のあだ名で呼ぶのは。今の俺はしがない科学の教師だ。お前こそ腕鈍ったんじゃないか。前はラケットに当てれたのに」
「そりゃ、高校卒業して何年経ってると思ってんだよ。もう三十だぜ」
「そっか、お前が東京に行ってからそんなに経つのか……どう、楽しいか、そっちは?」
「うん。楽しいよ」
「ええ!? 今の流れはそうじゃないだろう。都会に疲れたお前は親友の俺に不意に会いたくなってって流れだろ」
「それ、この前、公開したマイナスパイラスのまんまじゃん」
「おっ、さすが映研部の部長」
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