2日目~夢~

7/9
88人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
爽やかないい香りが辺りに漂う。 料理好きな母の趣味は家庭菜園だった。 トマトや小松菜などの野菜はもちろん、他にもバジルやカモミールなどのハーブ類や今の時期は苺の苗も植えている。 「クワァ~!!」 ツバサは興味深々で苺の苗に近付く。 ちょうど小さな実が実り始めているところだった。 ツバサは鼻を動かし甘い苺の香りを吸い込む。 「クワワァ~」 その匂いが気に入ったらしく、恍惚とした表情になった。 そこへモンシロチョウがヒラヒラと目の前を通り過ぎていく。 ツバサは初めて見るその小さな生き物を不思議そうに目で追う。 モンシロチョウはカモミールの花にとまると、口についている長いストローを伸ばし蜜を吸った。 「あれはモンシロチョウって名前の昆虫だよ! 花が大好きなんだ!」 翔はツバサにそう説明する。 ツバサは言葉を理解しているかのように頷くと、今度は蝶のいるカモミールへと近付いて行く。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!