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爽やかないい香りが辺りに漂う。
料理好きな母の趣味は家庭菜園だった。
トマトや小松菜などの野菜はもちろん、他にもバジルやカモミールなどのハーブ類や今の時期は苺の苗も植えている。
「クワァ~!!」
ツバサは興味深々で苺の苗に近付く。
ちょうど小さな実が実り始めているところだった。
ツバサは鼻を動かし甘い苺の香りを吸い込む。
「クワワァ~」
その匂いが気に入ったらしく、恍惚とした表情になった。
そこへモンシロチョウがヒラヒラと目の前を通り過ぎていく。
ツバサは初めて見るその小さな生き物を不思議そうに目で追う。
モンシロチョウはカモミールの花にとまると、口についている長いストローを伸ばし蜜を吸った。
「あれはモンシロチョウって名前の昆虫だよ!
花が大好きなんだ!」
翔はツバサにそう説明する。
ツバサは言葉を理解しているかのように頷くと、今度は蝶のいるカモミールへと近付いて行く。
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