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その後も激しい雷雨は続く。
翔はツバサの恐怖心を少しでも和らげようと、ずっと笑顔でいた。
今までの翔であれば目を瞑って耳を塞いでいたはずだ。
でもそんな素振りは全く見せない。
翔のお陰でツバサはいつしか安心したように楽しく遊んでいた。
それから夕方になり、ようやく雨が上がる。
「雨、止んだみたいだね」
翔は窓へと近付いて言った。
空を覆っていた黒い雨雲はどこかへと姿を消している。
そして美しい夕日が西の空に傾いていた。
「クワッ?クワクワァ~!!」
隣にやってきたツバサが必死に窓の外を指さす。
「何、ツバサ?」
翔はツバサの指さす方向を目で追った。
「…あれは!?」
何かを見つけ、翔はツバサを抱き上げベランダへと出る。
それは大きくて立派な虹だった。
「うわぁ~!!」
「クワァ~!!」
二人は同じように口を開けたまま空を見上げる。
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