88人が本棚に入れています
本棚に追加
虹はその存在を主張するかのように堂々と空に浮かんでいた。
あまりの美くしさに翔もツバサも目が離せない。
そのまま虹が薄く消えていくまでずっと眺めていた。
「お~い!翔~ツバサ~!」
声のする方を見下ろすと、仕事を終えた父がこちらに手を振りながら歩いてくる。
「お父さん、お帰りなさ~い!」
翔もツバサも手を振り返す。
それから二人は部屋を出て、玄関で父を迎えた。
扉が開くと翔は父に抱き着く。
「ハハッ!いきなりどうしたんだ?」
父はそう言いながら翔の両脇を抱えて抱き上げた。
「うおっ、重たい!
翔も大きくなったんだな…」
ゆっくりと床に降ろして頭を撫でる。
「あなた、お帰りなさい!」
パタパタとスリッパの音を立てながら母もやって来た。
キッチンからカレーの美味しそうな薫りが漂う。
「クワァ~!!」
ツバサは鼻の穴を膨らませキッチンに向かって駆けて行く。
「あ、待ってよツバサ!」
最初のコメントを投稿しよう!