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「おっと、すまんね…
つい昔話をしてしまったの~
それでは私は家へ帰るとしよう」
おじいさんはそう言ってツバサの頭から手を離した。
「ねぇ、おじいちゃん!
今でもあの丘にドラゴン来るかな?」
背を向けて歩き出そうとするおじいさんに翔はもう一度だけ質問する。
するとおじいさんは振り返って言った。
「今は昔に比べて建物がずいぶんと多くなった…
あの丘でゆっくり休むのは難しいだろうの~」
その答えに翔は残念そうに眉を下げる。
「だが、ひょっとするとその子の母親はやって来るかも知れんな!
それではの~、ほっほっほ~」
おじいさんは再び背を向けて帰って行った。
翔はしばらくの間、その小さくなっていく背中を見つめていた。
「クワクワァ?」
ツバサが首を傾げながら翔の服の裾を引っ張る。
「ごめん、ごめん!
それじゃあ丘に行こうか!」
翔はツバサと手を繋いで丘へと向かう。
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