このみハイツ

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 アスファルトにはね返された太陽の光が、容赦なく顔面を照らす。 真っ赤な顔から滴り落ちる汗を手の甲で拭いながら、茅子(かやこ)は家へ向かう足をはやめた。  待ちに待った、夏休み。  昼までごろごろして過ごそうという茅子のプランは、成績不振による補習のためもろくも崩れ去った。 午前9時に始まり、正午には解放される補習からの帰りを、茅子は急がなければならない。 訳のわからない数式を見てきたせいで、脳は萎れきっているはずだが、心は躍っている。
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