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このみハイツ
体が芯から冷えきっている。
まるで氷水が消化器系を満たしきっているような感覚だ。
いや、むしろ俺が水に包まれているのか。
ああ、寒い。夏なのに、水中はこんなに寒いのか。
漱輔(そうすけ)は水の意思に従って、漂い流れた。
一体、いつからこうしているのか。何故、川に浮いているのか。漱輔自身覚えていない。
刹那、雲の切れ間から差し込んだ光線が、漱輔の網膜を焼いた。
白い太陽は川に飛び込んで砕け散り、水面を光らせる。
その熱のせいか、冷たい体が内側から温まっていくのを漱輔は不思議に思った。
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