10人が本棚に入れています
本棚に追加
「何頼む?」
「あっ、じゃあ紅茶をストレートで。」
「じゃあそれとコーヒーでお願いします。」
結局、駅前のカフェで暇をつぶすことになった。
改めて巧君を見たら、綺麗な顔立ちだと思う。
私もそれなりに男と付き合ってきたけど、こんなに綺麗な顔立ちの人はいなかった気がする。
かっこいいじゃなくて、綺麗。
「海衣ちゃんは、今彼氏いるの?」
いきなりの質問がそれなの?
やっぱりそういうのが目的?
「いないよ。」
なんだかその瞬間、少しだけ巧君の瞳が悲しく揺らいだ気がした。
「…なに?」
「いや…海衣ちゃん可愛いけど、なんか不思議な雰囲気だよね。どっか寂しげな感じ。」
あんまりそんなこと言われたことないからちょっとびっくりした。
冷めてるよね、とか、クールだよね、とはよく言われるけど。
「それでさ、この前一緒に帰った時に話せなかったんだけど、…会ってほしいやつがいるんだ。」
「…は?」
予想外の言葉に動きを止めた。
「たぶん海衣ちゃんと気が合うと思う。」
「なんで?ってか、なんで会わせたいの?」
「海衣ちゃんとあいつ、同じ瞳してるし、何より、あいつが海衣ちゃんに興味持ってるから。」
「全然意味わかんないんだけど。」
「とりあえず会ってよ。暇潰しだと思ってさ。」
まぁ断る理由もないしなぁ…。
別にいっか。
「…わかった。じゃあこの紅茶は巧君の奢りね。」
この頼みを引き受けたことで、私の運命はもう動き出していた。
最初のコメントを投稿しよう!