黒猫にはご注意を

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「何頼む?」 「あっ、じゃあ紅茶をストレートで。」 「じゃあそれとコーヒーでお願いします。」 結局、駅前のカフェで暇をつぶすことになった。 改めて巧君を見たら、綺麗な顔立ちだと思う。 私もそれなりに男と付き合ってきたけど、こんなに綺麗な顔立ちの人はいなかった気がする。 かっこいいじゃなくて、綺麗。 「海衣ちゃんは、今彼氏いるの?」 いきなりの質問がそれなの? やっぱりそういうのが目的? 「いないよ。」 なんだかその瞬間、少しだけ巧君の瞳が悲しく揺らいだ気がした。 「…なに?」 「いや…海衣ちゃん可愛いけど、なんか不思議な雰囲気だよね。どっか寂しげな感じ。」 あんまりそんなこと言われたことないからちょっとびっくりした。 冷めてるよね、とか、クールだよね、とはよく言われるけど。 「それでさ、この前一緒に帰った時に話せなかったんだけど、…会ってほしいやつがいるんだ。」 「…は?」 予想外の言葉に動きを止めた。 「たぶん海衣ちゃんと気が合うと思う。」 「なんで?ってか、なんで会わせたいの?」 「海衣ちゃんとあいつ、同じ瞳してるし、何より、あいつが海衣ちゃんに興味持ってるから。」 「全然意味わかんないんだけど。」 「とりあえず会ってよ。暇潰しだと思ってさ。」 まぁ断る理由もないしなぁ…。 別にいっか。 「…わかった。じゃあこの紅茶は巧君の奢りね。」 この頼みを引き受けたことで、私の運命はもう動き出していた。
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