黒猫にはご注意を

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図書室なんていつぶりだろう。 愛季と仲良くなる前は毎日放課後は図書室に来ていた。この図書室の独特な雰囲気がとても心地良くて。 この学校の図書室は古いこともあって、めったに人が来ないことで有名。図書委員もよくサボってるから、先生が戸締りに来るまで本当に人がいない。そんなのでいいのかって感じだけど。 私が一番好きな本を棚から取り出して、窓辺の席に座る。 ほんとにここは居心地がいいなぁ。 巧君が来るまでちょっと寝ようかな。 夢を見た。 小さい頃憧れてた王子様。 いつか私を迎えに来てくれる、私の王子様。 何か私に言ってるのに聞こえない。 そのまま去ってゆく王子様を追いかけて、手を伸ばした。 だけど、掴むことはできなかった。
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