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風の音で目が覚めた。
時計を見たら30分も眠っていたらしい。
やばっと思って顔を上げると、人がいた。
息が止まるような綺麗な画。
窓枠に座り、窓にもたれかかって外を眺めてる綺麗な男の人。
巧君も綺麗だけど、この人はどこか儚げというか、寂しい感じがしてなぜか惹かれる。
思わずじっと見つめていると、こちらに気づいたのか目があった。
どうしよう…。
「あんた、もしかして、巧に呼ばれて来たの?」
不意にしゃべった彼の声は右から左へ通り抜けてしまった。
「……え?」
「巧に呼ばれて来たんだろ?」
「あっ…うん。」
「…やっぱりな。俺に紹介したいやつっていうのはあんたか。」
そうだ。
そういえばそんな理由で呼ばれたんだった。
まさかこの人が…。
「俺は蒼。あおでいい。」
「あ…お?綺麗な名前だね。私は海衣。みいでいいよ。」
思えばもうこの時には手遅れだったのかもしれない。
どうしようもない恋の始まりだった。
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