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駅前に行くことになって、最初は4人でまわってたんだけど、菜桜ちゃんの提案で女2人、男2人で別行動になった。
「だって海衣ちゃんと2人で話してみたいんだもん。」
「はいはい、わかった。じゃあ蒼、行くか。」
「…おう。」
今日は蒼君が不機嫌みたいだ。
なんか、巧君も菜桜ちゃんも何か隠してるみたいで、なんだか怖い。
私は菜桜ちゃんと2人で話すことなんてないんだけど。
なんとなくカフェに入って、抹茶ラテを頼んだ私。
どうすればいいの、この状況。
頼んだカフェオレを一口飲んだ菜桜ちゃんが「ねぇ」と言葉を発した。
「蒼のこと、どう思ってるの?」
突然の質問が、内容が内容だけに、私をドキッとさせた。
だめだめ、落ち着かなきゃ。
「別に、なんとも。まだそんなに話したこともないし。」
「ふーん、そうなんだ。」
すると菜桜ちゃんは何か考えたあと、こう続けた。
「じゃあ私に協力してくれる?」
「え?」
「私、蒼が好きなの。」
えっ…。
なんでいきなりそんなことを私に?
「私達ね、幼なじみなの。蒼と巧と私と。小さい頃からずっと一緒だった。だからなのか、全然恋愛対象として見てもらえなくて…。」
それを聞いた私は、3人の独特な空気を思い出して納得した。
そっか、それで名前も呼び捨てなんだ。
「だからね、海衣ちゃん、蒼に迫ってほしいの。」
は…?
言ってることおかしくない?
「海衣ちゃんが迫って、蒼が悩んでるところで私が告白するから。そういうシチュエーション、漫画であるでしょ?あれをやってみたいの。ね、お願い。」
この子…バカなの?
それとも私がバカにされてるのかな?
でもなんだか…違和感を感じるけど、その正体がわからなくて。
巧君や菜桜ちゃんが何を企んでいるのか、それがわかるまでこれに付き合うのも悪くはないかもしれない。
「わかった。」
何よりも、相手が蒼君だしね。
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