黒猫にはご注意を

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「じゃあ海衣、また明日ね。」 帰りのHRが終わるやいなや、愛季は鞄を持って教室を出ていった。 今日は彼氏とデートらしい。 愛季は幼なじみの彼氏がいる。付き合ったり別れたりしながら、でも結局はやっぱりその幼なじみが一番だったって前に愛季が言っていた。 私にはよくわからない話だ。 来る者拒まず去る者追わず、それが私のモットーだし。 恋愛なんてスパイスみたいなものだと思う。 真っ白なご飯じゃ物足りないからふりかけかけちゃおう、みたいな。 普通の生活じゃ物足りないから、そこに恋愛をつけてみる、そんな感じ。 だから、そんなスパイスに入れ込むなんてありえない。 「あのさ、ちょっと話あるんだけどいい?」 教室を出た瞬間に後ろから声をかけられた。 振り返ってみると、どこかで見たことがあるようなないような男がいた。 「いいけど、ここで済む話?」 「歩きながら話したいから、一緒に帰っていいかな?」 ちょっと図々しいとも思ったけど、強引なのは嫌いじゃない。 「いいよ。帰り道どっち?」 「あぁ、すぐそこ。」 照れてるのかまったく目が合わない。恥ずかしい時に前髪を触る癖があるみたい。 なんだか可愛い人だなって思った。
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