黒猫にはご注意を

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告白かと思いきや、あっという間に彼の家の近くに着いて別れた。 話という話もなく、話したのは私のバイトのことくらいで、いったい何だったんだろうと疑問に感じながらバイト先に向かった。 私は‘monotone’という小さな雑貨屋でバイトしている。 輸入品を取り扱っているお店で、洋風のちょっとお洒落な雰囲気が気に入っている。あと、今にも「かしこまりました、お嬢様」と言いたくなりそうな制服も。 カランコロンカラン、というベルの音がお客様の来店を知らせる。 「いらっしゃいませ。」 そんなにお客が来るお店じゃないから、ほとんど仕事はない。 たまに来るお客はだいたい常連さん。 って言っても、「あっ、見たことある」程度しか感じないんだけど。 「あのすみません。彼女へのプレゼントを探してるんですけど、何かいいのありますか?」 まぁこういうことを聞かれることがよくある。 「彼女さん、可愛い感じですか?綺麗な感じですか?」 「んー…どっちでもないかな。可愛いとも言えるし綺麗とも言えるな。」 「あら、素敵な人なんですね。」 「…はい。来週彼女の誕生日で、その…プロポーズしようかと思って。」 はにかむお客様を見ながら、内心「興味ないなー…人の幸せなんておいしくもなんともないし」なんてぼやいていた。 まぁ仕事だし、仕方ないか。 「じゃあオルゴールなんてどうですか?このミニピアノのオルゴールならインテリアになるし。この曲、教会のオルガンで弾かれるような綺麗な曲ですし。」 「あ…これって、‘主よ、人の望みの喜びよ’ですよね?」 「あっ、知ってらっしゃるんですか?」 「彼女がクラシックとか好きなんです。…これいいな。これにします。」 ここに来るお客はこういう幸せいっぱいな人か、私みたいな寂しい人のどっちかだ。 「あなたに相談してよかった。またここに寄らせてもらうよ。」 「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております。」 寂しい人が来るのを楽しみにしてたりする。
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