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「へぇー、そんなことがあったんだぁ。でも変わってるね、そのタクヤ君?友達からってことなのかな?なんかよくわかんないね。」
「タクヤじゃなくて、タクミね。んー、まぁどうでもいい。」
「あんたひどいねー。まぁそのドライなとこが魅力的なんだけど。」
昨日の帰りに声をかけられて、一緒に帰った巧(タクミ)君のことを愛季に報告した。
気になってたんだけど、いったん口にしたらもうどうでもよくなってしまったみたい。
「で?この連絡先には連絡してみたの?」
興味津々といった様子の愛季が目をキラキラさせて聞いてきた。
「するわけないでしょ。」
「じゃあなんで消さないの?連絡するつもりないなら消せばいいじゃん。」
「それはそうなんだけど…。」
連絡するつもりはない、それは本当。だけど、なんとなく消したくないんだよね。
寂しかったら死んじゃう。
これって本当のことだと私は思う。だって、寂しかったら心が荒んでいって、いずれ死んじゃう気がするの。
だから、このメモはちょっとした支え。
私にも逃げ場所があるんだって、そう思えるから。
「連絡はしないけど、これは消さない。」
「えー、何それ?」
「いいの。はい、この話は終わり。」
「えー…気になるー。調べてみようかな、このメモの王子様。」
「メモの王子様って…。」
愛季は女の子っぽくて可愛い。
ちょっとだけ羨ましかったりするけど、やっぱり私はこんな夢見がちな女の子にはなれそうにない。
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