宙に浮かんだ成れの果て

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宙に浮かんだ成れの果て

巣から落ちた雛をジャンプして乗せようとしたそのはずみ 雛は無事に乗ったものの 僕は大きな木に頭だけ引っかかってしまった どうやら浮いているようだ 強い風が吹く度首が締まっていく嫌な感触がする 何人か通りかかったが こんなご時世誰も空を見上げようとしない 僕の体にぽっかりと空いたままだった空洞には 別の鳥達が住み着いた 幾分伸びた髪は枝や葉に絡まり始め 時々雨から雛を守ったりしている 優しい木々のざわめきはそれだけで 良い子守歌のようで 僕はずっと手に入れられなかった安眠に身を委ねて眠った 一体なんでこんな事になったのだろう そういえばあの日もいつもの様に下を向いて歩いていたんだっけ ああ全く思わぬものを 見つけてしまったもんだ 今更ぼやいても仕方ないが 僕の首は着々と長さを更新し始めている 下りる術を考えなかったわけじゃない ただいつの間にか この木になれるような気がしてしまったんだ そんな気がしてしまったんだ 月日の流れと共に 体は日に日に鳥達の養分になって 僕の原型ももうすっかりない 地面を走るその感触 見事に忘れてしまった この木にはなれなかったけれど 僕は何とか餌になる事に成功し、雛を3羽巣立たせた 今も生きているかは知らないが  
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