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鞄に勉強道具をまとめてコートを羽織る。
春に向かっているとはいえ、まだまだ寒い季節が続いている。
コートはまだしばらく手放せそうにはない。
日が落ちて暗くなった道を一人歩く。
寂しさが不意に湧き上がり、寒さと相まって思わず身震いする。
「翔にぃ~!! 」
後ろから聞こえてきた声に振り向く。
こちらに向かってくる葵が見えた。
大きく手を振りながらこちらに走ってくる葵に足を止め、追いつくのを待つ。
「翔にぃも今帰り? 」
横に並んだ葵が首を少しかしげる。
「そう。図書室で勉強してた。」
「そうなんだ。一緒に帰っていい? 」
「あぁ、もちろん。」
笑顔で聞いてくる葵に俺も笑顔で返す。
上手く笑えているだろうか……?
とうとう終わりを告げられるのだろうか。
そう思うと心臓がドクンとひときわ大きく脈打った。
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