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「葵は部活? 」
沈黙が怖かった。
この関係の終わりを告げられるかもと思うと黙ってはいられなかった。
「そう、部活。今日も疲れたぁ~。」
ぐっと伸びをしながら、俺の話題に乗ってくれる葵。
沈黙を避けるようにそのまま話を続けた。
「疲れてるようには見えないけど? 」
「そう? 」
ニコニコと笑顔が絶えない彼女は実際疲れているようには見えなかった。
「後輩の指導がどうもなれないんだよね……。」
「そうか、もう葵にも後輩がいるのか。」
「当たり前でしょ? 私もう2年になったんだから。」
「はは、そうだな。ごめん、ごめん。」
ふぅ、と軽くため息をついた葵に思わず出た言葉。
俺が受験生になったということは葵たちも学年がひとつ上がったということ。
当たり前と言われても仕方がない。
頭を軽くポンポンと叩きながら謝る。
「悪いと思ってないでしょ。もう。」
「悪い、悪い。」
ふいっ、と横を向いてほほを膨らます葵が可愛いと思った。
自然と口角が上がり笑いが漏れた。
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