第十五章

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「寂しい、か……。 」 帰り道葵に言われた言葉を繰り返す。 言われて初めて気付いた自分の気持ち。 口に出すと体に馴染む。 「会えなくて寂しいか……まるで……。 」 本当の恋人みたいじゃないか……。 口には出さずに思うだけにとどめる。 勉強にまるで身が入らない。 さっきから開いたノートは真っ白なまま。 ペンを持っても意味のないミミズが走るだけで全く勉強が進まない。 チラリと時計に目をやると机に向かってから1時間程が経とうとしていた。 「今日は無理かな……。 」 パタリと机に頬をつけ目を閉じる。 まぶたの裏にはふわりと笑う葵の姿。 いつから茜じゃなくなった……?
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