第十五章

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まぶたの裏に涙がたまっていくのを感じた。 俺はまた繰り返すのか……? あの時と、茜の時と同じように……? ぎゅっと目元に力をいれるとポツリと涙が一粒こぼれ落ちた。 落ちた涙が真っ白なままのノートにじんわりと染み込む。 「それだけは嫌だ。 」 グッと唇を噛み締める。 ただ見ていることしか出来なかったあの頃。 ボロボロだった俺を救ってくれてのは同じくボロボロだった葵だった。 いつから、なんて分からない。 でも葵を好きな気持ちに蓋はしない。 だって。 「後悔はしたくないから。 」 体を起こし開いた瞳には決意の灯火。
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