第十五章

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真面目に練習している葵を見て自分でも気付かないうちに微笑んでいた。 パチッと視線が絡み、いつものごとく葵が手を振ってくる。 笑みを深めて手を振り替えすと返ってくる笑顔。 近くにいた先輩だろう人に頭を叩かれ、葵の視線が逸れる。 呆れたような表情の先輩とちょっと不満げな葵。 ふはっと漏れた笑いに慌てて口を塞ぐ。 室内に視線を向けるが近くには人はいなく、いるのは入り口に図書委員だろう生徒がひとり。 ホッと息を吐いて視線を戻す。 葵は既に練習に戻っていた。 一生懸命なその姿を見て俺も真面目に勉強するかと置いていたペンを取り参考書と向かい合った。
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