第十五章

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チャイムの音にハッとする。 時計を見れば部活も終わる時間でグランドを見ると既に片付けもほぼほぼ終わっていた。 葵は既にグランドからいなくなっており、恐らく部室棟にでも着替えにいったのだろう。 約束をしているわけではないが、さっき目があった時に俺が勉強していた事を葵は知っているはずで、恐らく待っているのだろう。 俺以外の利用者はいないが、図書室なのでなるべく音をたてずに帰り支度をする。 入り口にいたはずの図書委員だろう生徒も今は席をはずしているらしい。 カウンターの中には見当たらなかった。 特に本を借りる予定もないのでそのまま荷物をまとめて図書室を出る。 「あ、お疲れー。 」 カラリと音をたてて開いた扉の脇から声が聞こえて目を見張る。 声のした方へ視線を向けると壁に凭れてしゃがみこむ葵がいた。 「……お疲れ。 」 驚きすぎて反応が遅れた。 人は驚きすぎると声すら出ないらしい。
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