序章 拾ったのは警戒心の強い黒猫

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「チッ総司の野郎…」 あ゛ー…苛々すんな 趣味の俳句も真夜中でしか詠めない かと言って真夜中だから安全という訳じゃない いつどこで見られているか分からない だから今日はわざわざ外に来たのだ 人一人いない真夜中の京の町をブラブラと一人歩いていると 「俺達に楯突くからこうなんだよ」 は? 路地裏から聞こえてくる男の声 バキッ 「んだよその面はよぉ…」 ……結局屯所にいなくても仕事かよ 「―――なにやってんだ?」 そう、声をかけると男達は“壬生浪士組の鬼副長”と気づいたようで一目散に逃げていく そんなに怖いか? 「おい、大丈夫か…って意識ねぇな」 男……いや女? なんだこの羽織り ……耳? 耳がついてんぞこれ .
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