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――どうやら私は狙われていたらしい。 既に黒く炭化して散っていく何かを隠すように、先程、私の首を痛めた人が前に立つ。 無造作に遊ばせた薄い茶色の髪が風に揺れる。 白いトラを横に従わせた中性的な顔の男性が口の端を上げた。 「送迎用の箱も使わないで何してるの、馬鹿なのかな君は」 「……」 ……は。 半分笑っているような顔で私の後ろを指差す。 透明の真四角の箱が、中に数人の人を乗せて私の横を通り過ぎて行く。 ……何だあれは。 「あれは近くの街から学園に出てる移動用の箱なんだけど……もしかして知らなくて、魔物とかが出るこの道を歩いて学園に行こうとしてた?」 今度は可哀相なものを見る目でこっちを見た。 頑張って歩いた私が可哀相だからやめてほしい。 脱力するがままに地面に座り込んだ私の顔に白いもふもふが擦り寄ってくる。 わーもふもふできもちー。 もふもふに手を伸ばしたところで気付いた。 白いもふもふって、数分前にも見たような……。 勢いよく目を開くと、真ん丸の青い大きな瞳と超至近距離で目があった。 「……!」 硬直した私の膝に、白いトラが「撫でて」と言わんばかりにオテをした。
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