序章

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カキーンといい音がした。 独特の気持ちいい感触を手に残したまま、バットを置いて俺は走った。 「行けー!三塁狙えるぞ、青木!」 「回れ回れ!」 三塁コーチは腕をぶんぶん振り回している。 綺麗な白いユニフォームが汚れるのも気にせず、三塁ベースにスライディング。 審判が「セーフ!」とコールした。 と同時に顧問の言葉が頭の中をよぎる。 『次の試合で大きいの一本でも打てばベンチ入りは確実な』 俺は自然とベンチに向かってガッツポーズをしていた。
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