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ほどなくして戻ってきて、
「なあ、浴槽が空だけど」
「ああ、スポンジ見あたらなくて掃除しなかった」
「は? おまえな。そんなバリバリ物食ってるヒマあるならそんくらいしとけよ、今日仕事行ってないんだろ」
「なに!? いっつも風呂はいんないでシャワーじゃん知らないっつーの!」
「急にキレんなようるせぇな。こっちは仕事で疲れてんだから……っておいおい。牛乳ないじゃん。買い物行ったならちゃんと買えよ」
「はあ? 自分で買ってくればいいでしょ! なんでもかんでもわたしに言うのやめてよね。牛乳なんてコンビニよって買ってくればいいでしょ!?」
「だからヒスになんなっつってんだろ!! オマエの声うるさくてイライラすんだよ!」
「あーっそう。じゃあわたしに怒鳴られない場所にいけば? こないだのアケミちゃんの家に泊めてもらえば」
「だからそれはちゃんと謝ったろうが。お前それでわかったっつったろ。なんでそこで掘り起こすんだよ意味わかんねーなおい!」
「なにさ、どうせアケミちゃんじゃなくたって女他にいるんでしょ?! 洗濯したときいっつも仕事着に香水の臭いついてんだからね! 女の子よりどりみどりセックスし放題でうらやましいですねーほんと。なのに何が仕事で疲れてるだふざけんなよ!」
「なんだよ、抱いて欲しいならもっと女らしくしろよ! 皿洗いもしない、服も頓着夜中も昼も朝も四六時中冷蔵庫あさりやがってぶくぶくぶくぶく太りやがって。自分で鏡見て失望しないわけ?」
「だからそれはっ!」
「それは? なんだよ」
それは、妊娠してるからだっつーの!
妊娠五ヶ月目は食欲が増えて無性に色々食べたくなるって先生がいってたの。
と、言いかけて口をつぐむ。
すると勘違いした良哉がハン、と鼻で笑った。
「ほら、何もいえない」
「……」
俯いてしまう。言おうと思ってたのに。いえない。こんなのいえない。
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