花園

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「その……自分の幸せを、大切にしてください!」 俺がそう言うと一華さんは、少し驚いたみたいに目を丸くしてから顔をほころばせ、俺に飛びかかるみたいにまた抱き付いてきた。 俺は全く状況が判らなくて、焦った。 「君は……本当に綺麗だ。昌」 何を言ってるのだろうか。俺なんかより、一華さんの方がずっと綺麗だ。美人だ。かっこいい。 「僕とは何もかもが違うんだね……昌」 一華さんの背中が小刻みに震えていた。消えてしまいそうな声が耳に残る。 「昌、ごめん……何もしないって言ったのに……僕ね、昌、僕……キスしたい」 「はい……え!?あ、だ、駄目で……」 ハッとなって一華さんを押しのけようとしたけど、それよりも一華さんの方が早かった。 唇が重なる。ドクンッドクンッと、心臓が強く脈打つ。一華さんの柔らかい唇は、まるで吸い付くようだ。 駄目だって思うのに……気持ちがいい……駄目なのに……これじゃあ俺は……。 俺はこの時から……もしかしたらそれ以前からか、絡め取られてしまったのだろうか。 花園の迷宮の奥深くへと、誘われてしまったのだ。
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