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白い牡丹の花が風に揺られて、まるで湯気のようだった。 儚そうな、いまにも消えてしまいそうな、そんな、花のようだった。 縁側に腰掛けながらぼーっとそれを見ていると、背後で兄が咳き込む。 「兄様! いかがなさいました!? 兄様!」 心配になり縁側から兄のいる部屋に駆け込むと、兄はクスクスと笑う。 「何が可笑しいのですか?」 「いや、ごめんよ。心配してくれる美一(よしか)があんまり可愛いからさ」 俺はこんなに心配をしているのに、それを面白いだなんて。 拗ねて頬を膨らますと、兄はまた、笑った。 「もう! 兄様は寝ていて下さい! あまり起きていたら、身体に障るんだから!」 俺は、布団を兄にかけ直した。 「ふふ、ありがとう、美一。でもね、眠りすぎるのもきっとよくないから。そうだ、美一。よかったら、また教えてくれないかい? 牡丹の花がどれだけ咲いていたのかを」 庭の中にある牡丹園。俺も兄もそれが大好きで、よく、その話をした。
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