赤の話

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    「あ、名前はなんだ?」 「?」 いままで 人間を切ることだけを考えていた 彼にとって名前なんて どうでもよかった 「名は魂を与える大事なモノ……  私が決めてあげるよ  貴方、妖怪になる前に  人間だった?動物だった?」 「え?あ……蛇…」 彼を滅しようとした 冷たい瞳の女は 素に戻ると少し天真爛漫で どこか悲しい瞳をしていた そして への字に曲げた口がふと笑い 微笑みながら言った 「へびの異名から取って  今から貴方"くちなわ"に決定」 その微笑みは 誇らしげに見えて くちなわと命名された彼には 眩しく思えた         -終-
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