赤の話

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      殺された人間への憎しみ… 彼はそう読み取った 彼はそう決め付けた それからは刀を奪い 人間の血を浴びる日々が続く 切れば切る程 かすかだった感情が 次第に大きくなり始めた そして 涙が頬を伝い始めた 「………!? (な…んだ…?)」 それまで 切るために動いた身体が ピタリと止まった その涙がなにを意味し 何故流れるのか 分からなかった… その間に切られなかった人間 逃げる奴が大半だったが やり返してくる奴がいた 非力な力で刀を握り 涙を流した妖怪を切りつけようと 「……! (切り返す…!)」 そう思うが 身体が言うことを聞かず 人間から遠ざかっていった 遠く……走り続けた…
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