一章、邂逅と好奇。

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 そのまま、だんまりの徒花さん。  にしても、とんだ青春を謳歌しているものだ。あの女も。 「それで、あの女が命を狙われている、つうことは、やっぱりその遺産目当て、ですか」 「…………はい」  やれやれ。  まったく面倒なことに巻き込まれたものだ。徒花さんが、変なものでも見るかのように僕を見据える。さて、僕は何か変な顔でもしてたかな。言いつつ、口許を引き締めて。 「どうして、僕なんかに大切なお嬢様を任せようと?」 「お嬢様はよく、魔王さまの話をされます。その表情はとても生き生きしていて、輝いてらして……」 「……」  僕の話をして輝いているとか言われましても。それは多分、何かフィルターが掛かっているものかと。 「おそらく、お嬢様はあなたが好きなのです」 「………………っ」  危ない。  もう少しで噴き出すところだった。だって、好きって。言うに事欠いて好きって。 (笑いすぎて)震える肩を何とか悟られることのないよう、僕は務めて冷静に口を開く。あー、絶対だめ。笑う。笑っちゃう。可笑しすぎる。 .
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