一章

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 教室は本館第一区域の201だ。Aクラスは下一桁が1、Bクラスは2、以下順繰りに続く。計4つの部屋を1年生は利用するということか。  ハミルトンと別れて、私達の所に入ってみたところ、思ったより広かった。以前の学生時代も無駄に広く造られていたけど、それに遜色無い。 「思ったより、広いな。なんでだろ?」 「アレや、授業の規模がデカイんやと思うで」 「なるほど」  自由席なので、隣に座っている。きっと早く来すぎたのだろう。まだ、誰の姿も見えない。 「なあ」 「どうした?」 「ハミーのところも、こんなに広いんかな?」 「……見てきたら?」 「いや、止めとこ。後で本人に聞いたら良いだけやし」  ――うわー、早いなぁ。自分の番号見てすぐ来たのにぃ。  声に顔を回せば、頬を膨らませた女の子と目が合う。髪は赤色のショート。まるで茹でる前のスパゲッティみたくストレートだ。後ろ姿を見れば、きっと、飾りであろうピンクのリボンとマッチしていて可愛らしいだろう。制服のサイズが少し大きいらしく、黒のスカートが長く見えるのも、なんだか面白い。 「悪いな、先、行かせてもらったで」 「ちょっと早すぎるよ。絶対、一番だと思ってたのに」  このクラスは高位貴族が大半、もしくはすべてを占める。それだけに時間厳守――エーヴェテでは高位であればあるほど、マナーを守る傾向ある――どころか、20分前集合なんて当たり前らしい。学園資料に書いてあった。  ふと、扉へ目を向けてみれば、  ――さすがにもう何人か来ているのですね。あと10分もすればきっと空席は無くなるのでしょうか。  水晶のごとく透き通った髪を垂らす少女が足を踏み入れる。水色に見えるけど、角度によって変色しそうなソレは幻を見ているようで。  10才にしては背も高く、もちろん今の私より高い、一方で、声変わりもしてない丁寧な言葉遣いがアンバランスにも映る。
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