一章

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 学園というのは、魔学と剣学を中心に様々なモノを学習する場所で。数多く設立されていて、ひとつひとつの質は断然異なる。  持ち前の力を活かして、最高レベルを受験し、無事合格して今に至る。 「明日の入学式、楽しみなのね」 「うん、楽しみ!」  ――母ことスペリ・イグニは、妙な語尾を用いる。なにやら、イグニ家の女性が嗜むとか。他家もそういった個性的な訓が存するみたいで。この世界に常識は通じない。  ……ちなみにイグニ家の男性は、主語が“わたくし”。  ところで、子を持つ親も休みのはずであるが、父は忙しいらしく、家にいない。詳しくは聞いてないが、討伐系はその日に済ませるべきだとか。  そう、魔物も共存する。この世界――正式名称はエーアヴェルムンワーテラー、やたら長ったらしい名前なのでよくエーヴェテと略されるけど――では多種に渡って重きが置かれている。  その一部が魔物。  家の書庫を漁ったからこそ知っているけど、人間のラミアスがエーヴェテを支配したから今はヒトが繁栄しているらしい。その前はエルフで、まだまだ過去は辿れる。  とにかく魔物が支配すれば、栄える種族も変わるという事実に沿って、殺生が関連するわけだ。別段、魔物と人間が敵対関係にあるわけではない。  閑話休題。  入学式は朝早いのだからそろそろ睡眠へと旅立とうかと思う。制服も準備してあるし、カバンも用意した。それに、ほら、聞こえてきた。 「そろそろ寝ると良いのね」
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