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まったく……、心臓に悪い、コレは。急いで、ここを離れるために、足を踏み出すと、
「ちょ、お前やお前や。どこ行くねん」
さすがに私であろう。ここまでされて勘違いは無いと信じたくなる。
とりあえず、振り向いて、
「Aクラスだけど?」
「だよな、勘違いやったらどうしようかと思ったけど、良かった」
安堵するのはお互いらしい。私もだが、彼もだ。何か相通づるところでもあるかもしれない。
「俺さ、Aクラスになるとか思わんくて、知り合い、一気に居らんくなったんやんか。一緒に教室行かんか?」
「……良いよ。私はディーン・イグニ、ディーと呼んで」
「おぉ、ディーか。俺はアイル・トーン。ついでに、番号は301001A。旧貴族の名残で農民やのに家訓持ちやけどよろしくな」
「農民……。それはまた大層な」
「いや、そうでもない。勉強する環境が悪いだけ」
10歳にしては妙に口が回るアイルと喋っていると、横に並んでる――アイルの友達だろう――が割り込んできた。
「アイル! 僕も紹介してよ」
「あぁ、わりぃ。コイツはハミルトンだ。そいつこそ貴族とは縁が遠いから、ファストだけだぜ」
ファストとは、単にファーストネームのこと。家の使用人は、数は少ないけど、ファストしかない人ばかりだ。
一度でも平民より上の地位に属せば、セカンも得られるけど、数はそう多くは無い。
「そろそろ教室行こうぜ。周りが見てる」
「ホントだ。アイル、早く行こう?」
「あぁ。ディー、お前も行くぞ。てか、ハミー、クラスは何になった?」
「Dだよ。でも、ここに入れただけ満足さ」
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