夏の陽

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「君は…何故ここにいるの?」 拓海が女の子に質問すると、血を流し終わった彼女は、眉を歪ませた。 「君こそ、どうしてここへ?」 「僕は遊びに来たんだ。いつも来てるんだ、いつもね」 拓海は自然に彼女の隣に座った。拓海も彼女も、同じ5歳だが、ふたりはどこか大人びていた。 「そうなんだ…私は糸川雪乃、君は?」 「河野拓海、よろしく」 拓海は笑顔を見せたが、雪乃は「河野拓海…」と呟きながら難しい顔になった。 「今じゃみんな、外に出ない。こんなに綺麗なのに」 流れる河を見つめながら、拓海が言った。 「うん‥あんな事件があったから」 「そうだね…」 少し笑顔を見せた彼女に、気持ちが暗くなった。彼女はもう死んでいるのだ。彼女は、自分が死んだと気づいた時、どんな思いで受け入れるのだろうか。 それからしばらく、ふたりは会話を交わした。
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