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彼女があいつと別れた事を、僕はその日の日付が替わる直前に知った。
彼女は泣いた、…らしい。
確定できないのは、それが彼女から聞いたことでは無いからだ。
彼女からの連絡は無かったが、その代わりに、彼女のもう一人の相談相手が僕に連絡を寄越してきたのだった。
件名に、報告とだけ書かれたメールには、顛末が事細かく記されている。
「…うん?」
携帯を閉じた刹那、またメールが届いた。
返信にしては余りに速すぎる。
補足か何かだろうか、と思いながら送り主を確認する。
正直、予想もしていなかった人物の名がそこにあった。
件名:ごめん
お前が言いたかったのは
こういう事だったんだな。
俺は馬鹿だった。
彼女を泣かせてしまった。
もう俺にはチャンスが無い。
だから、お前が彼女と
一緒に居てやってくれ。
彼女は、寂しがりなんだ。
全て気がついたような口振りだった。
彼女の痛みがこれで和らぐ訳では無い事が、もう解っただろう。
彼女を託された僕は、嬉しいはずなのに泣きそうだった。
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