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グゥ~~…
太陽の光が漏れ、木陰に心地よい微風が吹く森林の中、暫永のお腹から大きな音が鳴り響いた。
「お腹空いたぁ~。」
「まったく、さっきからそればっかだな。」
空腹から元気消失している暫永に、乙葉は溜め息混じりで返した。
暫永と共に、職人の村を出発してから早三日。
一日のほとんどを歩いて過ごしているにも関わらず、一向に次なる村にたどり着かない。
「今更だが、本当にこの道であっていたのか?」
「あってるよぉ。
この道を真っ直ぐ行けば、次の村に着くよ!」
「その言葉を信じて、三日も経過したがな……。」
グゥ~~…
再び鳴り響く空腹音。
「このままだとオイラ飢え死にするぅ~……。」
「お主が`一日ちょっとで着く´って言ったから、その分の量しか食料持ってこなかったんだから仕方ない。
だが、流石に私も腹が減ったな。」
そう言って自分のお腹を擦ると、キョロキョロと周りを見渡した。
「おっ、暫。
あそこにキノコが生えているぞ。」
指差す先には、地面に横たわる苔の生えた大木に、無数の大小さまざまなキノコが生えていた。
赤の下地に白の斑点。
紫一色や、白一色。
かさがでかかったり、ちいさかったり。
内に曲がるかさ、外に曲がるかさ。
色・形がそれぞれ違い、緑に覆われている森林の中でとても鮮やかに自己主張をしている。
「うわぁ~!綺麗な色っ!
オイラ初めて見たよ!!」
暫永は好奇心満々で、キノコが生える大木へと駆け寄った。
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