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まだ月が隠れていない明け方。
春になったとはいえ、まだまだ東北の朝は寒い。
風邪をひいては、政宗にあれこれいうことができないだろうと考え、小十郎は袿を肩に羽織り、愛用の笛を手に取って外へと出た。
冷たい風が頬に刺さるが、季節を感じるものであるのには変わりがないので、これはこれで趣きがあると思う。
こんなことを政宗に言えば、
「思考がじじいなんだよ」
と、呆れ顔をされるに違いない。
ふっと一人、笑いをもらした後、小十郎は縁側へと腰をかけた。
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