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「おはようございます。
灰猫さん。今日も
早いですね」
その言葉に、灰猫は眉を下げると、座ってもいいですかと聞いてくる。
「どうぞ」
手で示してやれば、彼女はそこに静かに腰をおろした。
彼女は数日前に、主である伊達政宗が拾ってきた女だった。
当初は怪しんでいたが、彼女が政宗を助けたことによら、それはもはやすっかりなくなってしまっている。
むしろ今は、興味があって仕方がない。
何でも、怖い夢を見て眠れないのだとか。
静かに庭を見つめている灰猫の横顔は、憂いを含んでおり、思わず見とれてしまう。
「また、怖い夢を
見たのですか?」
「はい……」
問いかけてやれば、彼女は控え目に頷いた。
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