1809人が本棚に入れています
本棚に追加
Side.蒼生
守らなくちゃ、守らなくちゃ。
礼一は俺にとって、初めての友達で、初めて大事に思える人間。
好きで、好きで、独占したくて、でも、皆に優しい礼一も好きで、
でも、俺以外に構って欲しくない。
礼一の負担にもなる。
守らなくちゃ。
「アオ、…怒ってるの?この前はごめんね」
「……――」
礼一が、俺に話しかけてくる。
この前、転入生とあった日から、俺は礼一と居ない。
いる事が出来ない。
だって、転校生がくるから。
今、気にしていないと言いたかった。
でも、言葉を出すのが遅い俺。
そして、空気を読まない声のせいで言葉に出来ない。
「蒼生!迎えに来たぞ!!一緒に飯食いに行こうぜ!」
「――ん」
「全く蒼生は!無理して言葉出さなくてもいいんだぞ!俺はなんでも分かってやるからな」
うるさい。
うるさくて、しゃべる気も失う。
「アオ……」
「なんだ?!お前!!平凡な顔だな!友達いないだろ!?」
「!?――だい、ち、だめっ」
「友達ならいるから大丈夫だよ」
礼一に話しかけちゃダメ。
礼一もこんな奴、相手にしないで。
「アオ、…言いたい事があるならちゃんと言って」
「っ…!!」
冷たい声。
冷めている声。
礼一がこんな声出すなんて。
「僕は、ちゃんと―――」
「なんでそんなん酷い事言うんだよ!!」
「っ―――!」
「レーチッ!!」
最初のコメントを投稿しよう!