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それからどんどん狂いだす。
大地の言った事は本当だが、本当ではない。
でも信じがたいはずの、礼一の態度を疑いつつも、愛しい大地の言う事を丸のみし生徒会は礼一を批難する。
庶務である礼一は、気まずい空気でも生徒会をして。
それに比べて、俺らは仕事を丸投げして。
間違っていれば薫たちはそれを咎めて。
俺は…そんな礼一に申し訳なくて、でも、皆と同じ態度しかとれなくなった。
だから、隠れて仕事を少しずつするようになった。
礼一の負担をなくすために。
でも、俺はなんで書記なんてやっているんだろうと思う。
日本語を聞き取れるから、英語で会議中の内容を書いて、それを訳すように今までしていた。
字は綺麗らしいから時間がかかっても許された。
でも、それは手伝ってくれる人がいたから。
一人だともっと時間がかかる。
『アオ、あぁ、この漢字はこうだよ』
庶務になってから礼一に教えてもらった。
でも、今はない。
「でさぁ」
ボロボロと汚くお菓子を生徒会室で食べる大地。
それを愛おしいと思う薫も世未もおかしいと思う。
「おい、庶務。これを風紀に持っていけ」
「分かりました」
ただ、生徒会で礼一以外でちゃんと仕事をしているのがいる。
生徒会長の鴇矢。
自業自得だってわかってる。
でも、鴇矢に見せる笑みを俺にも見せてほしい。
「鴇矢もこっちきて一緒に菓子食おうぜ!仕事ばっかしてんなって」
「また"高校生が~"とか言うのか?俺らは跡取りだ。この程度できなくてどうする」
溜息を吐いて仕事をする鴇矢。
それに喚く大地。
でも、鴇矢の言っている事は正しい。
「学生の本分は勉強だけどな。なら、今のお前がここにいる事がおかしいだろ?さっさと部屋に帰って勉強でもしてろ。授業もサボってるんだしな。"お前ら"」
馬鹿にしたように笑い、書類をまとめていく。
無駄口を叩いていても、完璧にこなす。
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