優しい彼

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山奥の世間から隔離された、金持ちの子息が通う、全寮制男子校。 様々な企業の子息たちが共に生活をし、学ぶ所。 俺は、そこに中等部から編入してきた。 元々、海外に住んでいて日本語が上手くない俺は黙っている事が多かった。 容姿が良いらしく、遠目からチワワたちが眺めてくるが話かけてくる事が無い。 教師は話を掛けてくる事があったが、片言で頭で考えてからじゃないと発言できなかった俺のゆっくりな返事に段々と話を掛けて来なくなった。 進級して、生徒会と言うのになり、俺と同じ様に周りから遠巻きにされている人気者達と一緒に過ごしていても、そうだ。 同じ心境の中でか、穏やかな、一番安心できる場所だったけれど、話はそんなにしない。 ただ、安心できるってだけ。 話をしている皆を眺めているだけ。 居心地がいいけど虚しい。 そんな感じ。 必然と俺は言葉を発すつことが無く、もっと無口に、そして、片言になって行った。  
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