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そんな時だった。
高等部に進級し、時期生徒会として生徒会の書記の補佐をしていた頃。
やっぱり日本語が苦手で現国の宿題を出された時、参考にと図書館で書を探していた。
けれど、何処にあるか分からなくて、図書委員に聞こうとしたが、言葉が出て来ない。
どうしようと悩んでいると、目の前の図書委員も困っていた。
―どうしよう。
どうやって聞けばいい?
聞く時、遅かったらイライラする。
聞いてくれなくなる。
そんな不安と疑問の中、救いの声が聞こえた。
「高町、どうしたの?」
びっくりして、振り返る。
そこには、評価しようにもこれと言って特徴のない平凡がいた。
確か、同じクラスの…名前は
「九条…礼、一……?」
「うん。あってる。どうしたの?高町?」
俺の発言ににっこりと笑い、質問をしてくる。
でも、俺はそれに応えない。
いや、考えてしまって答えられない。
聞いてきている。
けれど、どう……言えば。
「ゆっくりでいいから言ってよ。急かさないし起こらないから」
その言葉が心に響く。
初めてそう言われた。
そして、
「げ…こく……参考書…探して、る」
「あぁ、そうなんだ。分かりやすいの知ってるよ。ちょっと待ってて」
俺の話し方に呆れる事なく、ただにこりと微笑んでくれた。
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