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「うぅ、何で私が・・・・・・」
半分泣きそうになりながらミーティアが広い廊下を歩いていた。
その手には男物の礼服が抱えられている。
ロストワールドから帰って来た一行だったがアレクサンドルとシンシアは状況報告をする為とされる為に玉座の間へ。
若い将軍は怪我が酷かったのでそのまま医務室へ。
初老の将軍はいつの間にか消えていた。
残されたミーティアにアレクサンドルが
ヘイムダルを部屋に案内して、着替えを渡してやってくれ
そう死の宣告をした。
オーガに聞こえない様に小声で反論したミーティアだが
なぁに、お前なら大丈夫だ
と言って肩に手を置かれた。
いや、だが待てよ長い間女性と接してないはず、いやでもいくらなんでも・・・・・・
その後顔を赤めながら小声で何か言っていたがよく理解出来ず
ま、まぁ・・・・・・大丈夫だろ
結局押しきられてしまった。
そして何とか部屋まで無事に通す事が出来たが正直生きた心地がしていない。
「陛下~ あの人私の結界素手で壊してるんですけど」
思わず泣き言が出た。
そうこうしている間にオーガの居る部屋に着いた。
(うん、陛下も大丈夫って言ってたし、もし殺すんなら行きに殺してるよね)
ミーティアは自分に言い聞かせる。
(というか何でシンシアさんが来ないんだろうあの人首輪に魔力込めれば抑えられるはずなのに・・・・・・)
何だか愚痴に変わってきた。
そんな自分の思考を払い、ミーティアは意を決した様に大きく息を吸う。
そして扉をノックしようとした瞬間
ドォン
けたたましい音と共に扉から腕が突きだした。
その腕がミーティアの首を押さえオーガが扉を破り出てくる。
それも全裸で。
「あぁ? 何ださっきのガキか」
敵だと思ったのか相手がミーティアだと気付くとオーガはすぐに手を放す。
首を押さえられたのと恐怖で言葉を失っていたミーティアだがオーガにぶら下がっているものを見て
「※%∴#*!!」
声にならない悲鳴を上げた。
「あ゛ぁ? あ・・・・・・」
オーガは少し考えた後持ってこられた上着をミーティアに被せる。
少女の視界が真っ黒に覆われた。
(いやぁ、やっぱり私襲われるんだ! 若い身空を散らすんだ!!)
アレクサンドルの心配をしっかり理解していた少女。
だがその身に蛮行が及ぶことはなく
「悪かったな」
バツが悪そうなオーガの声が聞こえた。
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