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世の中は、神と四大天使、そして下級天使―クリスティア―の3つから成っている。
大小異なれど、すべての者が背中に羽根を生やし、未だ停滞を知らない目まぐるしい発展の中で生活をしていた。
発展の中心である大都市ニルトは、昼であろうと夜であろうと眠ることを知らない。
絶えず音と光とクリスティア達に溢れている。
時刻は夜。
大通りから一本外れ、人通りの少ない道で上空にポツンと浮かぶ双子の月を見上げ、僕は小さくため息をついた。
「………貴方のため息、いい加減うるさいわ」
「……ミア」
背後から掛けられた聞き覚えのある声に振り向くと、どこからともなく現れた女性―ミア―は、いつもの微笑を保ったままそこに居た。
いつもの、と言っても最後に会ったのは1ヶ月も前だが。
「なにかお悩み?」
「いいや?特には」
僕がそう答えるとミアは、ふぅん、と興味無さげに呟いた。
月が綺麗な晩にふらっと現れてはふらっと消える彼女。
彼女について知っていることと言えば、名前がミア、ということだけだ。
――本名かどうかも怪しいけど。
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