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「なにか用?そろそろ帰りたいんだけど」
「つれないわね。お茶してく?とか言えないの?」
気の利かない人、と続いた言葉とは裏腹にミアはやはり微笑で。
僕は、いつものことでしょう?と返した。
少し冷めた空気の後、沈黙を割ったのは僕。
「また、なにかあるのかな?」
「………さぁ」
ミアのその返事は肯定に等しいことを知ってる。
彼女が現れると近いうちに何かが起こるのだ。
小さなことかもしれないし、大きなことかもしれない。
ゆるくウェーブのかかった腰まである漆黒の髪の毛に、真っ黒な服、やけに白い肌と、深みのある赤の瞳。
ただならぬ雰囲気をもつ彼女は、僕にとって良くも悪くも吉凶を運ぶ黒猫にしか見えない。
この世界で唯一、僕の秘密を知る黒猫。
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