第1話

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「なにか用?そろそろ帰りたいんだけど」 「つれないわね。お茶してく?とか言えないの?」 気の利かない人、と続いた言葉とは裏腹にミアはやはり微笑で。 僕は、いつものことでしょう?と返した。 少し冷めた空気の後、沈黙を割ったのは僕。 「また、なにかあるのかな?」 「………さぁ」 ミアのその返事は肯定に等しいことを知ってる。 彼女が現れると近いうちに何かが起こるのだ。 小さなことかもしれないし、大きなことかもしれない。 ゆるくウェーブのかかった腰まである漆黒の髪の毛に、真っ黒な服、やけに白い肌と、深みのある赤の瞳。 ただならぬ雰囲気をもつ彼女は、僕にとって良くも悪くも吉凶を運ぶ黒猫にしか見えない。 この世界で唯一、僕の秘密を知る黒猫。 .
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