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クラスの女子を自室に連れ込んだ――と言うと聞こえが悪いが、俺が桃井桜子を自室に連れ込んだのは事実。
勿論変な意味でではない。
……ようやく彼女の殺気に慣れてきた。
キョドらずに会話ができるくらいに。
「何で突然?」
俺は今の心境を正直に言った。
「もうすぐ期末テストでしょ……?だから、助けてあげようと思ったの。」
「それは嬉しいのだが、俺達は話した事すらない赤の他人なんだぞ?」
俺がそう問うと、桃井桜子はこう切り出した。
「私、人見知りが激しくて……友達とか居ないの。」
そういえば彼女が誰かと話している所を見たことがない。
いつ見ても殺気を放ちながら勉強をしていた気がするし。
「だから、勇気を振り絞って鬼城君に話し掛けてみたの。迷惑……だったかな?」
「寧ろありがたいよ。桃井に教えてもらえるなんて夢のようだ。」
「お、オーバーだよぅ……」
桃井桜子が顔を赤らめながらそう言った。
この娘、目付きは人一倍鋭いけど、顔立ちといい、肌艶といい、とても綺麗だ。
クラスのアイドルになってもおかしくないレベルだと俺は思う。
勿論彼女から発せられる殺気がなければの話だが。
「本当の事を言っただけだよ。」
「そ、そんなこと言ったら……女の子は惚れちゃうんだから……」
ズバリ言おう。桃井桜子はとてつもなく可愛らしい。
今まで気付けなかった自分が恨めしいくらいに。
「べ、勉強しよ勉強!分からない所は教えてあげるから!私、勉強だけは得意なんだから!」
話題を反らすように桃井桜子は言った。
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