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「え?俺振り返るべきなの?」
「任せるよ。もしかしたら鬼城君のお友達かもしれないし。」
何その興味をそそる言い方!?
振り返ってその正体を確認するべきなのか、振り返らずに、俺のスタンドってことにするべきなのか……
……俺は自分の目で見たものしか信じない。
もう、答えは決まっているっ!!
俺は恐怖心を捨て、半ばヤケクソで振り返った。
「んな!?」
『久しいな朝輝よ。』
そこに居たのは狐の神、狐ヶ崎天音尊だった。
俺はこいつと面識がある。
何せ、こいつの封印を解いたのは他でもないこの鬼城朝輝なのだから。
しかし、封印を解いたと言っても自由に世界をふわふわする事はできなかった筈なのだが……
「どうしてお前がここに居るんだ?」
『うむ。単刀直入に言うと、社が壊されてしまった。』
「誰に?」
『青髪の女にだ。』
青髪……という事は獣持ちか。
それも、色素が滲み出るくらい強力な。
「面識は?」
『無い。』
「そいつは他に何かしていったのか?」
『賽銭箱に五千円を入れて何かを願っていった。』
「太っ腹な奴だな……」
ご縁があるとか無いとかで入れる人がたまにいるらしいが、そんな人は見たことがない。
精々五百円といった所だろうか。
俺はすっかり蚊帳の外となってしまった桃井桜子に話し掛けてみることにした。
無いとは思うが、地域の人々を把握していたりするかもしれないからだ。
「桃井、お前は知ってるか?」
俺は桃井桜子の方を振り返りながらそう言った。
『誰に話し掛けているのだ?』
しかしそこに桃井桜子の姿はなかった。
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