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5
「酷い……」
桃井桜子が自身の口を、手で覆いながらそう呟いた。
木造の社は最早原型を留めておらず、見るも無残に破壊されていた。
その木片の所々には血痕らしきものまで残されている。
「おい天音。これは血痕なのか?」
『唯一の住み処を破壊されそうになったんだ。抵抗して当然だろう。ま、結局破壊されてしまったのだがな。』
狐ヶ崎天音尊は呆れるように首を振りながら言った。
『しかし、馬鹿な奴だ。最後に封印を解いていくとは。』
狐ヶ崎天音尊は悪戯な笑みを浮かべながらら、
『神に逆らった罪は重いぞ……』
と呟いた。
……実を言うと、俺もかなり腹が立っている。
この狐を封印するのはとても大変だった。
説得なんて通用する筈がないし、戦って勝てる相手でもない。
そこで俺は考えた。
詳細は割愛。長くなるからな。
先に言った通り、人間ごときが戦って勝てる相手ではないのだ。
たとえ、身体に神を宿していようとも。
青髪少女の未来は一つ。
死あるのみ。
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